東京ボイストレーニングスクールスタッフブログ耳を鍛えるイヤートレーニング?
2025年8月5日

「もっと上手に歌えるようになりたい!」
「声優になりたい!」
「いい声を出したい!音程をきれいに取りたい!」
そんな思いでボイストレーニングに通いはじめた方、多いのではないでしょうか。
スクールでのレッスンといえば、やはり中心になる「発声」。
声を出すこと、響きを整えること、それ自体はもちろんとても大事です。
でもそれと同じくらい大事なことがあるのです。
それが、「耳を鍛えること」。
といっても、耳の筋トレをするわけではありません。ここでいう“鍛える”とは、「音を正しく聴き取る力」を育てていくという意味です。声を出す力と、音を聴く力。この2つは、実は表裏一体なんですよね。
さて、“耳を鍛える”って、具体的にどんなことか。
今回は、「音感」にフォーカスしてお話ししていきます。
まず耳の話題でよく出てくるのが「絶対音感」。周囲のあらゆる音を、瞬時に音名で聞き取れる能力のことを言います。
たとえば冷蔵庫のブーンという音を聴いて「あ、F#だ」とか、車のクラクションが「ソとシ」だとわかるとか、そういうレベルです。
でも、これは無理に持つ必要はありません。歌やナレーションにおいては「絶対音感がないとダメ」なんてことは一切ありません。むしろ重要なのは、「相対音感」と呼ばれるものです。
相対音感とは、ある音を基準にしたときに、他の音との“高さの差”を正しく認識できる力のこと。
例えば、「ド」の音が鳴ったあとに、それに対して「レ」を出せるか?「ミ」の音が鳴ったあとに、「上がった?下がった?」を判断できるか。この力があると、歌っていても音程の跳躍に対応しやすくなったり、音の流れを自然につかんだりできるようになります。
実際、東京ボイストレーニングスクールのレッスンでも、ボーカリスト志望の方はもちろん、声優・ナレーター志望の方も、音階や鍵盤を使ったトレーニングを行っています。
なぜなら、声の仕事全般において「耳の感覚」は非常に重要だからです。
セリフやナレーションにも「音楽的な要素」があるって、ご存じでしたか?
言葉の抑揚、高低、緩急、リズム。
それらを聞き分ける力がついてくると、演技のバリエーションがグッと広がるんです。
「このセリフは、どの高さで始めたらいいんだろう」
「感情を乗せたいときに、どこで音を上げると自然だろう」
そんなふうに“音の方向”をつかむ力は、声のプロには欠かせないスキルです。だからこそ、声のレッスンをしている方には「耳を使う練習」も並行してほしいのです。
では、どうやって耳を鍛えるか。
まずはやっぱり、ピアノやキーボードなどの「鍵盤」を使うのが王道。鍵盤を押して出た音を、正確に声で再現していく。これを繰り返すことで、「聴く力」と「発声する力」がリンクしていきます。
ピアノなんて持ってないし…という方でも大丈夫。
スマホに入れておける無料の鍵盤アプリがたくさんあります。ちょっと音を出して、それを真似して声にする。それだけで立派な耳トレです。逆に、音程を気にせずただ声だけを出して練習するのは、ミシンを使わずに手縫いでTシャツを一着仕立てるくらい遠回り。
できないことはないけれど、効率よく上達したいなら、やはり音に向き合ったほうが早い。
そしてもう一つおすすめしたいのが、「ニュース原稿を声に出して読むこと」。
ナレーションにも演技にもつながりますし、ニュースにはさまざまな言葉のリズムや構文が詰まっています。
しかも毎日新しい原稿がネット上に更新されていくので、練習素材には困りません。
ニュースアプリやYahoo!ニュースなどを開いたら、まずは声に出して読んでみる。
そのとき、自分の読みやすい文や、つまずきやすい語のクセにも気づけるはずです。
ポイントは、慌てずに丁寧に。スピードよりも、一定のテンポを保って読むことを意識して。そして、いつもより大きめに口を動かして、ハッキリ発音しましょう。
“耳を鍛える”というのは、聴くだけではありません。
聴いたものをどう再現できるか、どうコントロールできるかという「表現力」全体の底上げなんです。
この「聴く力」と「発声力」が合わさると、あなたの“声”は、ぐんと自由になっていきます。
耳トレ+ボイトレ。
この掛け合わせを、ぜひ日々のレッスンの中に取り入れてみてください。
具体的なやり方が知りたい方は、ぜひレッスンで講師に聞いてみてくださいね。
スクールでは体験レッスンも随時受付中です。
まだ一歩を踏み出していない方も、この機会にスタートしてみてはいかがでしょうか?
あなたの声を、あなたの耳で育てていきましょう。
お待ちしています!